リーダーついて知るべきたった一つの誤解
御社では優れたリーダーが育っていますでしょうか?
会社経営や組織にとって優れたリーダーを育成することは永遠の課題と言って差し支えないと思います。
しかし、現状は「『この人物なら』と任せたはずなのに、期待通りの結果を出してくれない」といったことが往々にしてあるものです。
それどころか「リーダーを任せる前よりパフォーマンスが下がっている」なんて事態もよくよく発生します。
その理由は何なのでしょうか?
また、その要因が明確になれば、更に御社が力強く前進するキッカケになるのではないでしょうか。
では、その要因について触れていきたいと思います。
要員は2つの側面で発生しています。
1つ目は従業員側の適性の側面。
2つ目は指示系統の構造的な側面です。
順に見ていきます。
まず1つ目の従業員の適性についてです。
この点について話す前に、1つ誤解を生まないように先に補足しておきたいと思います。
それは
“優秀”=“リーダー”
という、リーダーについてのたった一つの誤解があるということです。
“優秀”=“リーダー”という図式は実は成り立たないことが多いのです。
世間一般に広く誤解されている部分ではありますが、リーダーシップのある人間は決して優秀とは限りません。
もう少し正確に言えば、リーダーとは「人を率いる能力は高いが、決して万能なわけではない」ということです。
「能力が高く優秀だが、人を率いる能力は低い」ということが当然のように発生します。
あなたの身の回りにも、
「あんなに優秀だったのに管理職やリーダーになった途端、『何やってるんだろう?』と感じる」みたいな人いませんか?
つまり、優秀な人材がそのままリーダとしての適性を持っているとは限らないのです。
「なんだ、そんな当たり前な事」と思われるかもしれませんが、このミスリードの人員配置が平然と行われています。
どんな職種でもそうですが、テキパキと仕事をこなすような優秀な人材は、そういう仕事の仕方が得意なだけでそこにリーダーとしての要素はありません。また、とても技術力の高い優秀な人材も、それが得意なだけであって、そこにはリーダーとしての要素はありません。
これが、従業員側の適性による側面です。
しかしながら多くの場合、「あいつならきっとやってくれるはずだ」と、そのテキパキ仕事をする人材や技術力のある人材をリーダーに抜擢してしまいます。
これが2つ目の指示系統の構造的な側面の要因です。
「仕事を優秀にこなしてくれるから、リーダーにしても大丈夫」
こういった心理効果のことを”ハロー効果”と言います。
仕事を優秀にこなすことと、リーダーとしてチームをまとめ上げ業績を向上させていくことは全く違う業務です。
しかしながらその部分を「いっしょくた」に考えて任せてしまった結果として、リーダーになった人もどうしていいのか分からずにチームの舵が取れない。
なので、リーダーとしてどのような働きを期待しているのか、それに応える働きができるか、できなそうなのであればその要因はどこにあるのかなど、意思の疎通が必要になります。
そこを怠ってしまうと上記2つの要因が重なり合って、結果としてミスリードが発生してしまいます。
そしてリーダーを任された人は引き続きテキパキと仕事をしてしまったり、技術力を高めたりしてしまいます。
「リーダーとして誰よりもしっかり働かねば」と思ってしまうんですね。
言い換えれば、「リーダーの仕事」というものを仕事と認識できていないということです。
そうしてだんだんと間違った方向に進んでいき、期待通りの結果を出してくれないという事態になるんですね。
むしろリーダーとして重要なのは「人を率いる能力を有している」という一点だけです。
経営陣は、「リーダーをやってもらうにはそれに必要な資質がある」ということを
リーダーになる人は、「リーダーになると仕事のやり方が変わる」ということを
それぞれの立場で、その部分を明確に理解しておくことが、ミスリードの発生を防ぎ、円滑な組織運営をしていく上で必要不可欠です。
是非とも、せっかくリーダーを任せるならば、リーダー自身が成長し、結果として組織全体が成長していって欲しいと思います。
この記事が優れたリーダーを育成する上でのきっかけになれば幸いです。